お題その3

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匿名なのにわざわざ名前入れてくれるの嬉しい。

 

ゲームと映画は同じく娯楽でありエンターテイメントなのだけど
両者に明確な違いがあるのだとすれば、射幸心ではないかと思う。
中にはゲームの合間にムービーを見ているのか、ムービーの合間にゲームをしているのか分からなくなるものもあるし
ホラー映画におけるシャワーシーンやラッキースケベを目的に、目を皿のようにしている人もいるのかもしれないが
リザルトやカタルシスといった「ご褒美」のために、せこせこと操作するのがゲームの本分であり
自身が経験してこなかった、あるいはこの先もしないであろう人生を体験し、異文化と交流するのが映画であると考える。
(「映画とは、退屈な部分がカットされた人生である」とはヒッチコックの談。)

とするならば、やはり対峙していて楽しいゾンビと
対峙するのを見ていて楽しいゾンビというものは違うのだろうな、と浅慮ながら行きつくのである。

 

近代ゾンビ映画の金字塔、見ていないやつはゾンビを語るべからずとまで言われる「ドーンオブザデッド(2004年)」
言わずとしれたロメロの「ゾンビ(1978年)」のリメイクであるが
公開されるやいなや、ゾンビが走ることについての是非が積極的に話し合われた。
「じゃあ走らなかったらお前ら面白いと思ったか?」と逆説的に評価されたり
「リメイク元超えるなら走るくらいしなきゃ無理やろ」と擁護されたりもしたのだが*1
現在においては、あれを分岐点にドーン前、ドーン以後と明確化されたことで、走るゾンビの市民権は発生したとされている。*2

この走るゾンビ、何がいけないかというと「強すぎる」のである。
噛まれたり引っ掻かれたら、致命傷でなくともゾンビ化確定の世界において、距離をとれないというのが最も怖い。
ゾンビの代表的な撃退法として
「頭部、および頸椎の損傷により行動停止」
「心臓、あるいは身体に一定のダメージにより無力化」
「燃やして煙になってもなお襲ってくる*3」と結構タフなのが特徴的で
走ってきたら銃当たらんやんけ・・・近接戦闘とか下策も下策やん!というのが正直なところ。
「ドーン~」では、グラウンドホテル形式という一種の群像劇によって籠城戦をメインに描いているのだが
要はそこまでしないと物語として崩壊してしまうほど、アンバランスな設定なのだ。

ちなみに「ワールドウォーZ(2013年)」では、完全に無力化できるかどうかは描写されていないものの
「頭部の殴打」で行動を停止したり「体のどこでもとりあえず弾が当たればひるむし、なぜか床でのたうち回る」という
世界中で人類滅亡1歩手前まで追い込んでおきながら、非常に愛嬌のある設定となっている。
(つまずいて転んだだけで死んだ天才科学者も、それはそれで愛嬌があるが)

これらのことから、映画で映画的な進行をするためには
・ゾンビの強み(高耐久、高燃費、確定永続チャーム持ち)
・ゾンビの弱み(低機動、低Int、地形対応力×、有利属性無し)
を両立しないと、主人公たちにとって余りにもフェアでない。
ここに
・ゾンビの強み(高機動) New! でもつこうものなら
「じゃあ弱みも増やせや開発」と思うのが普通の感想。

飽くまでもフェアな、ゾンビ対人間という構成の中で
「籠城して完封したったwwwざまあwwww」→「仲間噛まれて院内感染wwwオタワwww」となるのが楽しいのであり
「ゾンビ硬すぎわろえないwwww」→「頭撃てNoob、死なないなら死ぬまで撃てよ、にわかか?」となるのがサイコーなのだ。
その均衡したバランスの中に
「ゾンビvs人間vs人間」とか「高AGIゾンビvs高INTヒューマン」などの亜種が存在しうるのだと思うんです。

ーーーここまでが前提&映画のゾンビ論ーーー

ーーーここからうちの猫ーーー

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ーーー閑話休題ーーー

ゲームにおいて主人公たちの行動は、そのほとんどがプレイヤーに委ねられる。
このプレイヤーという存在、ゾンビにとってみればチート級である。完全に異世界転生。
こいつらめっちゃ頭狙ってくるし、すぐ地形ハメするし、抗体持ち設定かよwww中2病でもドン引きするわwww
なので、ある程度のゾンビBuffとプレイヤーNerfは許されるのです。ある程度は。
そんでもって射幸心、こいつを忘れちゃいけねえ。
レアドロップとまでは言わないよ、ゾンビがカードドロップしても嬉しくないしね。*4

HSするたびに音や映像で楽しませてくれたり「クリックできてえらーい」ってコウテイペンギンしてもらえれば、それでいい。

じゃあ逆にやりすぎのNerfってどんなのかっていうと
・燃やさないとクリムゾン化するし、燃やしてもハンターが来る。*5
・30発頭に撃ちこんでも死なないし、弾がカッツカツ。*6
・本来縛りの一環であるはずのナイフプレイを強要してくる。(ナイフ使わない縛りをするハメに)*7
・ムービーで主人公がひたすらイケメンアッピルか、ゴリラアッピルをし続け
 唐突にQTEがはじまってガメオベラになる。*8
・本編がオマケで、オマケが本編の傭兵たち。*9

全部バイオハザードの文句です。

結局のところ「公平っぽさ」が大事なのであって、厳密な公平さと違いその基準は曖昧で
リアルであればあるほどゲームから乖離していくと同時に、リアリティは必要不可欠であり
何をご褒美だと思うのかは人それぞれなので、死んだ魚の目をしながらハンドルを握るパチンコ中毒者のように
ゾンビを気持ちよく撃てればそれでいいんだろうと思います。

最後に、ゾンビゲームとゾンビ映画に共通することとして
カタルシスを得られる要因の最大公約数があるとするのなら
有限であるゾンビの処理に終わりが見えたり、パンデミックの終息が近づくことによる「達成感」や
圧倒的に不利だと思われた人類が対処法を発見したり、強力な銃器やスキルを獲得することによる「一転攻勢」などが
王道かつ応用がきくのではないかと思います。
ゾンビで映画やゲームを作ったり、兵器運用しようとしている人は参考にしてください。
こちらからは以上です。

*1:要出典

*2:誰によって?

*3:出典:バタリアン。ゾンビといえるか微妙だが、史上最もしつこい

*4:靴にはベリットcを挿せと20年前に死んだお婆ちゃんが言ってた

*5:リメイクバイオ

*6:アンブレラクロニクルズ

*7:バイオ4以降

*8:バイオ4以降

*9:バイオ4以降