唐突に煙草の話をする。

煙草飲みの肩身が狭くなったと言われて久しいが、国産外国産を問わず、世の中にはとんでもない種類の煙草銘柄が溢れ、生まれ、そして消えていく。

なんであんなに新作出るんですかね?嗜好品とはいえ、煙草なんてルーチンに過ぎないから、そこに新鮮さとかを求めてはいないのだが。

そんなの人の勝手ですけど。

 

昭和の化石、両切りピース。ショートピースとも。略してショッピ。かわいい。

左は10本入りでショートホープと同じサイズです。右が通称缶ピースで、50本入り。

1日5~10本ほど吸うので、購入頻度を考えると缶を買いがち。これがまた処分に困るのだけれど。

あと売ってるお店は知名度の割に少ない。私は知人の煙草屋で定期購入しているけれど、生活圏内で10本入りと50本入りを売っているコンビニは各1店舗ずつのみ。それも常連向けなのか、番号付きでレジに掲示されておらず、バックヤード裏からこっそり取り出してもらわないといけない。*1

 

両切りピースを語る上で、大事な要素が3つある。携帯性と、価格、喫煙方法。

缶に入っているほうは言わずもがな、紙箱の10本入りも中々に携帯性は悪い。

50本入り缶は昔と比べて蓋が開きやすくなっている気がする。開閉を繰り返すとさらに。これが鞄の中で開いてしまう惨事は、想像に難くない。

10本入りはというと、通常の煙草20本入りボックスタイプに比べて防御面に不安が残る。ぬののふくレベルである。

そしてお洒落なシガレットケースを買ったところで、やがて使わなくなる。なぜなら両切りの宿命、煙草の葉が振動でぽろぽろと漏れ出し、中身が減ることで本体がしおしおになってしまう。ぽろぽろでしおしおだ。

結局のところ、使い捨てるつもりで定期的に10本入りを購入し、こうしたステンレスのケースを装着して持ち運んでいる。

人類よ、ぬののふくを卒業してはがねのよろいの時代である。いやステンだけど。

なんかテンプレートでもあるのか、手作り工作品売ってるフリマサイトとか、メルカリヤフオクでよく見る。何気に持ち運びではこれが一番手っ取り早かった。

 

そして次に、価格の話。基本的にはメジャーどころの紙巻きたばこと価格差はない。*2

これに加えて、一般的な紙巻きたばこは1本0.7gほどの葉が巻かれているのに対し、ショートピースでは1gきっかり巻いてある。言われないと気付かないレベルで少しだけ太く、そして中身がギチギチに詰まっている。

始めはタールの強さも相まって、喫煙するのに15分以上かかることもあるので、初心者の人はハサミで半分に切って少しずつ吸うというのもオススメ。

詰まった葉の量、タールの強さや喫煙時間の長さによる余韻、半分に切れば単純に2倍!これらの要素で、一般的な紙巻きたばこよりは圧倒的にコスパが良いと感じる。

もちろん手巻き煙草のシャグに比べればはるかに割高で、それでいて手間も同じくらいかかり、決して万人受けはしないのだが、個人的には満足している。コイツを辞める時は、煙草を辞める時だろうと思う。

 

最後に忘れてはならないのが、万人受けの最大の障壁、フィルターレスによる喫煙の難易度である。

ごく普通に流通していて、知名度も高いほうであるピースでありながら、手巻き煙草と同等の異端扱いを受けている原因はこれである。何なら、手巻きのほうがお手軽にフィルターつけて吸えるまである。分類としてはキセルで刻み煙草吸ってるほうに近い。

実際の運用も同じく、1/2~1/4にカットして、キセルに刺して吸う人も存在する。中毒者 上級者は分解してキセルやパイプに詰める。

まだフィルター付き煙草が普及する前の時代は、口の中に煙草の葉が入るたび、コーヒーなどで飲みこんでしまったり、唾と一緒に吐き出したり、衛生的にあまりよろしくない慣習があったようで、ただでさえ肩身の狭い喫煙者には推奨できない。

そこで役に立つのがシガレットホルダーという存在。

よく貴婦人が細長い棒の先端に煙草を刺して吸う、アレである。

イメージ図。

 

ここまで存在感の強いものは人前で使えたものではないので、もう少し大人しいものを探していたが、やっと満足のいくものに出会えた。

柘製作所は種類も豊富で大人っぽいデザインが多い。ちょっと太さが気になるが、制作難度や強度の問題があるのだろう。

注意点としては小さくて細いアルミフィルターが内部に入っており、これの清掃が非常に面倒。使い捨てのフィルターに交換したり、フィルターなしで運用する人も多いとか。

ちなみに清掃は薬局とかに売ってる無水エタノールと、キムワイプとかでチマチマやることになる。面倒な人は分解して沸騰したお湯にぶちこもう。

 

メーカー忘れたけど純銀製のホルダー。ググれば多分出てくる。楽天で購入。

ショートピースの吸い方に関しては人それぞれの作法があるらしく、少ないながらもネットの集合知を読み漁っていると、キセルの吸い口部分を分解して使っている人がいた。

これはそのサイズとほぼ同等で、ずっしりと重量感もあり、中は単純な筒状なので清掃も容易。ただし金属製は重たいのでくわえ煙草はしづらい。

先人に倣って安物のキセルの吸い口でも試してみたのだが、金属臭がキツく、また銅が混ざっているのか緑青が浮いてくるのですぐにやめた。あと口径が微妙に合わない。

臭いはずっと喫煙するうちにヤニで保護されて気にならなくなってくるみたいだけど・・・。

 

色んなホルダーがあるが、購入を検討される人は、煙草を刺し込む口径はきっちり確認したほうが良い。*3

柘製作所のホルダーは緩やかな円錐状になっているので、わずかに力を込めながら回して差し込むと綺麗に保持できる。

金属製のほうはピッタリすぎるので、やや深めに差し込むことになる。灰を落とす時に煙草本体ごと落ちるのを防ぐため。

柘製作所は普段使いに、純銀のほうはお酒を飲むときなど時間をかけて吸う時にと使い分けている。

寿命も縮むし、どうせ狭い肩身である。狭い肩身の中だけでも、質が高いほうがいいなと思って、色々試行錯誤している。丸まった背中に、石などお投げになりませんよう、お願い申し上げます。

*1:なんかの闇取引か。

*2:たとえば2023年現在、マルボロは20本入り600円だが、ショートピース10本入りが300円、50本入りが1500円となっている。

*3:前述の通り、ショートピースは通常の紙巻きたばこより、やや太い