Dota Underlords覚書
Valveが発表したAuto Chessのスタンドアロン版、Underlordsである。
Dota2のシーズンパス購入者を対象に先行配布されていることをご存知だろうか。
ご存知である前提で話を進める。
今作はスマホ版とのクロスプラットフォームが可能であるだけでなく
ランクマッチやUIの最適化、試合の大まかな流れなどが大胆に改修されている。
個人的に気になった変更点の解説をしてみたい。
・試合時間の短縮
恐らくだが、移動しながらもプレイできるスマホ版やライトユーザーの存在を考えて
試合全体、つまりラウンド間のユニット購入時間は短縮されている。
それだけ思考時間が短くなったと言えるが、後述するUIや仕様の変化でそれほど気にはならない。
むしろ試合数をこなして徐々にランクを上げていくゲーム性のため、時短は単純に嬉しい。
・倉庫の仕様変更
ラウンドが開始された試合中であっても、倉庫内のユニットはころころ並べ替えできる。これは視認しやすくて非常に便利だ。
なおかつ、試合中にユニットを購入し、それが盤面に出ているユニットと合成可能であった場合、ユニット合成は予約されて、ラウンド終了時に自動で強化される。*1
これは驚異的な仕様変更と言える。スマホ版でわちゃわちゃした操作が難しいという配慮もあるのだろう。
そして倉庫の管理がしやすくなったお陰で、試合間の時間短縮が苦にならないというわけだ。
・アイテムの仕様変更
これは一長一短だろうか。ラウンド1~3、およびラウンド10から5刻みで行われるモンスター戦において
これまでは倒したモンスターが直接アイテムをドロップしていた。
これを今作では「モンスター戦のラウンド勝利時、ランダムで表示されるアイテム3個のうち1個を選択して取得」となった。*2
選択可能なのは嬉しいが、1ラウンドに1個しか取得できない。
アイテムの効果も置き換わったものが多く、また新規に追加されたものもある。
それだけ1個ごとの重要度が増したというべきだが、有用なアイテムが複数同時ドロップしたり、良いアイテムを合成できたときの喜びは失われた。
そして「ユニットが装備可能なアイテムは1個のみ、着脱は自由」という仕様も。
たとえば強固な防御ユニットを複数抱え、火力ユニットは少数精鋭といった構成の場合
エース級のユニットに火力アイテムを集中させるといった選択が理想だったが
今作の仕様ではせいぜい、上位互換のアイテムが出たら置き換える程度しか介入できない。
ライトユーザー向けといえば聞こえはいいが、やはりこれもスマホ版への配慮だろう。
画面右側の3タブ目がアイテム管理画面。マウスのドラッグ&ドロップで着脱が容易に行える。
別タブを開いてる場合でも、誰にも装着していないアイテムがあれば通知が出る。
・シナジーの変更点
シナジーも大きく変更がなされている。(ちなみに今作ではアライアンスと呼称されている)
ゲーム内でシーズン情報を見ればすべてのデータは確認できるため、細かい点は別の機会にするとして、特筆すべき箇所だけピックアップしておこう。
恐らく本家オートチェスのプレイ経験者が最も驚くのはドルイドではなかろうか。*3
これもスマホ版への配慮か、素早い操作が要求されるドルイド運用への対抗策だろう。
ドルイドを2体盤面に出してラウンドを開始した場合、★の少ないドルイドが戦闘中のみレベルアップする。
ラウンドが終了して準備時間になれば、本来のレベルに戻るのである。
これでエンチャントレス2体を3Gで売却する錬金手段はなくなったし、もちろん4体集めるだけで★3にできるという優位性も失った。
エルフ構成の前衛としてトレントとプロフェットを2体出しているような場合は、★が低いほう、あるいは同じであれば毎回ランダムにレベルアップすることになる。
ちなみに★3と★2にしてしまえば、毎回どちらも★3である。その点だけは多少の節約になるか。
ただしビースト狙いのロンドル単体運用などは難しい。これまでは★1のドルイド3種を倉庫に保管しておき、ロンドルが★3になれば用済みとばかりに売却していたが
★3ロンドルの単体運用は困難になってしまった。大人しくエンチャントレスと一緒に運用しよう。*4
お次はウォーロック。こちらは3/6シナジーから2/4/6シナジーへ変更。
悪霊使い(5G)が削除された代わりにウォーロック(1G)が追加されたため、序盤から容易に発動できるシナジーに。
メイジとの親和性も格段に向上した。
変わり種としてデッドアイ。これはちょっとすごい。
これまで何度「そうじゃないだろ」と呟いただろうか。
ラウンドが開始されてしまうと、プレイヤーはユニットの戦闘に関して一切の介入はできないのがオートチェスである。
故に配置やアイテム装備に頭を悩ませ、ラウンド中は天に祈る思いでユニットの動きを見守る他ないのだが、このシナジーでは弱った敵からフォーカスを行うことができる。
戦闘において、ランチェスターの法則、すなわち数の暴力は大正義である。
瀕死のユニットにトドメをさせずに負けたラウンドがいくつあるだろうか。みなさんも胸に手を当てて思い出していただきたい。
ハンターも大きく仕様変更がなされた。攻撃力上昇と必中攻撃だったものが、3回攻撃へ。
200%ダメージアップと考えれば、アサシンシナジーに近いものと言える。
というか、マナの上昇量が格段に上がっている。ふざけるな。
これ以上タイドハンターを野放しにするんじゃない・・・。強すぎるよ・・・。
番外編
原始ってなんだ・・・。エレメンタルシナジーである。
近接攻撃された場合、30%で相手を4秒スタンなのか
攻撃を受けた場合、隣接するユニットを30%で4秒スタンなのか判断が難しい。
恐らくこれまで通りである前者の効果のはずなのだが、後者だとすると恐ろしい。
敵に囲まれたタイニィこと岩エレが、どこからともなく飛んできた矢を受けて、周りのユニットは全員スタンする。
近接攻撃の相手にしか効果がないため、序盤ほど強いという評価が覆る可能性がある。
ナイトシナジーは微妙なマイナーチェンジが行われ、運要素が薄まった。
これはラウンド開始時の配置依存なのか、ナイトユニットが移動することによってオンオフが行われるのか未検証である。
普通に運用する場合は問題なく1列目や2列目に隣接させるため、メリットしか感じないが
ドラゴンナイトを後列に単独配置した場合、その恩恵が受けられなくなるシチュエーションはあるだろう。
何気に3/6から2/4/6に戻されているのも見逃せない点だ。
ナイト3+火力シナジーの構成では、ナイトを2に減らして火力を増強したり、ナイトを4にして安定度を高めたりできる。
不死騎士(アバドン)をシナジー目的で採用していたハンターやトロルなどは恩恵を受けそう。
最後は今作で追加された血族シナジー。何気にオーガマジャイも復活している。
これまでのオートチェスではユニットが欠けることでプラスに働くことは一切なかったが、これは大きな変更点と言える。
前衛を受け持つオーガマギが倒れたのち、後衛のウォーロックが強化されるパターンや
アサシンやAoEなどで後衛のウォーロックが死亡しても、オーガマギが奮起するパターンが見られるように。
特に後者の火力上昇は目を見張るものがある。
今作はドワーフがデッドアイに置き換わっているし、オーガ、神、プリーストも存在しないため、1ユニットで発動するシナジーはまだ実装されていない。*5
改めて別の機会で紹介するが、同様にユニットが死亡することで効果を発動するアイテムも存在する。
新たに覚えることが増えるのは良いことだが、あまり本来のゲーム性とかけ離れるのも考え物だ。
長くなったので今回はこのへんで。翻訳が曖昧なところがあったり、まだまだ細かい仕様も把握しきれていない。
BOT戦もあるし、フレンドとPTを組んでランクマッチも行えるし、全体的にはかなり快適にプレイできている。
本家オートチェスにはModならではの、ユーザーと距離が近い感じがあるが、果たしてValveはどこまで今作を大事にしてくれるだろうか。