ジジイのはなし

かっこいいジジイであるために。

日頃からジジイを見て「あ、ジジイだ」と思っているんですが
もしかしたら道行く人が私を見て「あ、ジジイだ」と思っているかもしれないし
ある日突然、鏡を見たら「あ、ジジイだ」と思うのかもしれないので
ジジイを見ても「ジジイだなぁ」と思うようにしようとしたのですが
それではいつか鏡を見ても「ジジイだなぁ」と思うだけなので、なんの成果も得られませんでしたぁ!になる。

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かっこいいジジイになるための毎日は辛い。
目上の人間は、媚過ぎず敬わなければいけない。
目下の人間には、説教をしてはいけない。
加齢臭など持ってのほか、いつもきれいでいろ。
できる範囲でかまわないから。

最近心がけていること。かっこよく歩こうと意識している。
自慢の革靴を踵から着地し、小気味良い音を出して歩く。
全然関係ないけど、これを音がめっちゃ響くところでやると「軍靴の音が聞こえる」っていう無意味なワードが頭をよぎる。
道行く人もこっちを見る。何だあいつうるせえな。みたいな顔で見てくる。
その証拠に、こちらに視線を向けてくる人は、皆すれ違い様に私の足元に目を落とし、確実に靴を見てから通り過ぎていく。
意外と他人が自分のどこを見ているのかは、分かるものなのである。
着心地が良いという理由だけで夏に愛用しているポロシャツがあったのだが、胸の部分に自分の住んでいる地域のゆるキャラが刺繍してあった。
どっかの貰いものなんだろう、特に有名なゆるキャラでもないし別段気にするでもなく着ていたのだが
それを着て買い物に出かけると、8割がた胸の刺繍をチラ見される。
「年齢確認ボタンのほうお願いしますー(チラ)」「2006円お預かりしまーす(チラ)」
何が言いたいかと言うと、女性の胸を見る時は十分注意したほうがよいということだ。紀元前から言われてることだけど大事なことだよ。
今日も今日とて、革靴の踵を床に叩きつけながら歩いていたのだが
自分の足音よりもひと際大きく、聞き覚えのある音が背後から近づいてきた。
私は田舎者のくせに歩くのが早いという癖を持っているので、このド田舎において人から追い抜かれることはほとんどない。
学生の小走りか、ババアの全力疾走にしか抜かれることはないので、その足音が近づいてくると強烈な違和感を覚えた。
ハイヒールの音なのだ。コツーンコツーン「私、失敗しないので(ドヤァ)」みたいなやつ。
生まれてこのかた、ハイヒールを履いたことはないのだが、ハイヒールで急ぎ足になることの難しさは知識として知っている。
あまり幅に余裕のある道ではなかったので、ちょっとした好奇心も手伝って少し脇に逸れ、歩みを緩めてみた。
案の定その靴音の持ち主は、一層歩調を早めつつコツリコツリと近づいてきて、私の横を通り過ぎて行った。
オフィスレディ風のスカートタイプのスーツを穿いた女性は、鞄を脇に抱えてコッツコッツと歩いて行く。
その直後、わずかな段差にでもヒールをとられたのか、盛大に左足首をひねり、声にならないうめき声を上げてヨボヨボ歩きになった。
抜き返すのもはばかられ、用も無いのに道を曲がってコンビニを探して彷徨った。
ババアだって、かっこよくありたいのだ。きっと。

これからもババアの小走り以上、全力疾走未満の速度で人生を歩んでいこう。

 

この日記はタイトルも含めて10回ジジイと書き込み、3回ババアと書き込みました。